わたしの 何かが 誰かを照らす

そういうものにわたしはなりたい

人生に彩りを


サンマルクカフェにいる。実は7月は休みらしい休みがほぼ無かった。これからの輝く未来に向けての下準備であちこち走り回る休日だった。自分が楽しむことのためなら、人はその苦労を苦労とは思わないのは本当だ。確かに白目をむくような面倒なことばかりだが、その中にでも学びは転がっている。新しい世界に足を踏み入れようとするとき、小心者の私はまずビビり倒す。情報を集めるだけ集めて、リスクを想定し、想像し、妄想し、【ダーッ!!こんなこと考えてても命まで取られはせんわ!!!】っと崖っぷちまで自分を追いやって、ようやく決断する。腹が決まればあとは【私の決断は素晴らしい。人生は夢だらけ。】と開き直る。私が何かを新しく始めるとき、毎度毎度このプロセスを踏むということにようやく気づくことが出来た。生まれて35回目の夏、仁美感激である。次回からはもう少しこの時間を縮めたい。




最近のヘビーローテションは椎名林檎氏の【人生は夢だらけ】。椎名林檎氏は私の青春を彩ってくれた素晴らしいアーティストだ。私などがここで偉そうに賞賛文を書かなくてもご存知の方が大半だとは思うが、年齢を重ねるほどに優しく美しく、棘を華麗に隠しながら今も活躍されている女性シンガーソングライターである。私は林檎氏の歌詞の言葉使いや言い回しがとても好きだ。昔はもっと古い漢字や言いまわしを歌詞に多用されていた。棘がトゲトゲしていたし、人を寄せ付けないオーラで守っていた。が、今は【今らしく】砕けた歌詞になっていて余裕を感じる。それでも韻の踏み方や言葉遊び、例え隠したとしても感じてしまう存在感を放つ林檎毒は本当に素晴らしいと思っている。






この世にあって欲しい物を作るよ 小さくて慎ましくて無くなる瞬間
こんな時代じゃ手間暇掛けようが掛けなかろうが終いには一緒くた
きっと違いの分かる人は居ます そう信じて丁寧に拵えて居ましょう
【人生は夢だらけ】

求めては諦めて大人になって来たあなた。
お忘れなさい。大丈夫、ちゃんと時は過ぎていくから。
ああ、老いていくって何て快感。
持っていた手段を順に一、二、三 捨てればいい。うらら。
【マ・シェリ】

楽して得しよう人生まあ生きていりゃいろいろあるけれど
正直にならなきゃそう最後にはきっと一つしか選べない
【ジユーダム】

(歌詞全て椎名林檎)







私が中学生の時に椎名林檎氏がデビューし、思春期特有の暗黒期を彼女の毒のある音楽で支えられ生き延びてきた。私は一度愛したものはほぼ永遠に愛している傾向がある。特に思春期の時に持っていた強烈なエネルギーを傾けたものはその想いも際立って強い。私が愛しているものに共通しているのは【かなしみを含んでいること】だと思う。かなしみを含んでいるものには強さと優しさがあって、希望と祈りがある。世の中には完璧など何一つないこと、期待は裏切られること、愛されたくても愛されないこと、一生懸命やっていても評価を受けないこと、どんなに信頼しあっていても人間は孤独だということ、そういった【かなしみ】をわかった上で、さあ、顔を上げよう、と言ってくれるもの。表面だけを撫でるような励ましを求めていない私にとって、受け止めきれない【かなしみ】を認めた上でただ存在を認めてくれるもの、それと似たような匂いを感じるものがこの世に存在している、ということが希望だった。前向きでキラキラしているものでない自分が生きていてもいいのだと許された気がしたのだった。



人生に彩りを




世の中はこれからの人生100年時代をうまく生きのびるためのノウハウを手に入れることに必死だ。数えきれないほどのサービス、自分の頭では処理しきれないような情報量、とめどなく溢れてくるセールス、時間と料金を軸にした選択の毎日。すべては生きるために必要なこと。それは個人事業主になってよくわかった。これに子供がいたり介護があったりローンがあったりを考えればなおのこと、日々を回すだけの毎日になるのだろう。 提示された項目の中から、一番リスクが低く費用対効果が高いものの選択を繰り返す日々。だが、だが、だがしかし、と言いたい。【かなしみ】がたくさんある人生だ、と。そんなことはもうわかっている。うっかり気を抜けばつらいことや煩わしいことに支配される人生だ、と。理不尽なことばかりじゃあないか、30過ぎて体力が落ちていることも、シミが増えていることも、食べたら食べた分正直に体重が増える挙句減らないこともわかっている。リスク、費用対効果の考え方で生きていれば割とスムーズだし楽だよね、と。それでも、だがしかし、と言いたい。夢や希望を語りたいじゃあないか、と。保険料は高いし、消費税も上がるし、生きてるだけでしんどい世界に生まれちまった我が魂だけれども、夢や希望くらい語らせてくれよ、と。そしてあわよくば、その夢のカケラや希望の一端を掴んで、【かなしみ】を含んだ人生に彩りを添えたいんだよ、と。




LIFE is wonderful.

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